“鹿せんべいのあげ方マナー”を箱に記載…鹿と人間との共存へ

 自販機が設置された理由はそれだけではありません。鹿せんべいを求める鹿は体当たりや噛みつくこともあり、観光客とトラブルになることもしばしばあります。
 実は、鹿と長く触れ合いたいという思いから鹿せんべいをじらして与える人が多く、その結果たまりかねた鹿が噛みついて人身事故につながっているといいます。

 【奈良の鹿との人身事故件数】
 2017年 180件
 2018年 217件
 2019年 192件
 そんな問題に対応するため、自販機で販売される鹿せんべいの箱の側面には『小さい子はおとなと一緒に!』『じらさないであげてね』『鹿せんべい以外はあげないで』『手をひろげてもうないよ、のサイン』といった鹿せんべいのあげ方の“マナー”が書かれています。

 また鹿せんべいの箱は「kome-kami」という捨てられるはずだったお米を混ぜた紙素材が使われていて、万が一鹿が持っていってしまったとしても安全だということです。

 鹿の食べ物問題の解消と、鹿と人間との共存につながる鹿せんべいの自販機。売り上げの一部は鹿の愛護活動の資金にもなるということです。