ものづくり産業の強み活かし、リスク分散を
富山県は製造業が県内総生産(GDP)の32.5%を占め、全国平均(21.4%)を大きく上回る「ものづくり県」です。この製造業の強みが地域経済を支える重要な基盤となっています。
富山県のものづくり産業の特徴
富山県の製造業は、化学工業(21.2%)、生産用機械(13.8%)、金属製品(12.0%)、電子部品(10.1%)を中心に構成されています。
特に医薬品産業やアルミ関連産業は全国有数の集積地として知られています。これらの産業は豊富な水資源と低廉な電力を活用して発展してきました。
製造業は約11万人の雇用を創出し、年間3.7兆円の製造品出荷額を誇ります。また、関連産業への波及効果も大きく、地域経済全体の活性化に貢献しています。
相互関税の影響、製造業の8割弱が懸念
東京商工リサーチの調査によると、県内企業の57.1%が「マイナスの影響がある」と回答し、特に製造業では78.2%と高い懸念が示されています。
富山県の輸出先は中国(41.9%)、台湾(27.6%)、米国(25.2%)が主要市場です。相互関税により米国向け輸出に24%の関税が課されると、輸出競争力の低下は避けられません。特に電子部品(28%)や金属製品(26%)への影響が大きいと予測されます。
今後の関税政策の動向や為替変動に注目…
相互関税の導入は、県内総生産の約3.2%減少、雇用の2.8%減少、設備投資の4.5%減少などの波及効果をもたらす可能性があります。特に輸出依存度が高まっている現状(2023年:26.3%)では、影響は一層深刻です。
対応策としては、「特になし」と答えた企業が66.6%と最多ですが、一部では「金融機関からの借入増加」や「事業部門の縮小」を検討する動きも見られます。今後は関税政策の動向や為替変動に注目が集まっています。
富山県のものづくり産業の強みを活かしながら、リスク分散や新市場開拓など、持続可能な発展戦略が求められています。