これまでが安すぎたのか?適正価格を見直すとき

藤森祥平キャスター:
おなじみのセブン-イレブンのおにぎり、1月は138円でした。このペースで上がってきていて、ものによっては200円を超えている。コンビニでも気軽に手を伸ばせないかもしれない。

小説家 真山仁さん:
確かに値段が上がっていることは深刻ですが、もう半年ぐらいおコメの値段が上がっていることにコメントしている印象があります。今まで日本人はそんなにコメを気にしていなかった。例えば藤森さんは3食全てコメを食べていますか。

藤森キャスター:
割と食べています。うちは4人家族で弁当も持って行きますから、大変です。1年前に比べて2倍になっていて、5キロで税込みで5000円超えてしまうんですよ。

小説家 真山仁さん:
でも多くの人はたぶん朝パンで、昼パスタ、夜もイタリアンに行ってコメを食べない。だから元々日本人にとってもコメの存在感がなかったはずなんですよ。それが値段が上がり始めて、大変だと言い始めた。

何が言いたいかというと、そもそもコメは日本で大切な食糧ですよね。今まで安くて当然で、いつでも欲しいだけ手に入るということの方にも問題はあったんじゃないか。

それが少し値段が上がったことで、急に大変で許せないという感情まで来てしまっていますが、元々の金額が、本当にコメ農家がコメを作り続けられる金額だったのか。
あるいは最初から需要と供給のカーブをちゃんとわかってコメを作っていたのか、ということを考えた人はあまりいないと思うんですよね。

小川彩佳キャスター:
適正価格がどこなのか探っていくべきところがありますが、ただ2024年に農水大臣は「新米が出回れば価格は下がる」と言っていた。それが備蓄米を放出するまでとなり、でも価格も全く下がらない。この状況は何とかして越えていかなければならない。

小説家 真山仁さん:
安くするのであればたくさん作ればいいんですよね。需要と供給のバランスですよ。

ただ問題は今までの値段が本当に適正だったのか。農家はずっと安いと言い続けてきた。「こんな値段じゃコメ作っていられない」と思って野菜を作って儲けるんだけど、農家はコメを作るのが義務だから。

例えば水でもそうだし、あるいはエネルギーでもそうで、我々は命に直結する一番大切なものを、なぜか潤沢にいつも手に入る社会制度・みんなの努力があるが、値段が上がった瞬間に、「何か誰かが悪いんじゃないの」となる。

例えば、私はおにぎりはもともと110円のイメージがあるんですよね。なんでずっと110円だったのか。本当は50円なのに110円でぼろ儲けしていたのだったら、値上げはおかしいと言えると思うんですよ。だけどギリギリでやっていたんだったら、そこは価格を上げざるを得ないという、そういう知識の中で値段の話をしたいじゃないですか。

普通の商品だと「しょうがない」と言っているのに、なぜかコメとかそういうものにだけ急に怒らないでくれないかなと。

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<プロフィール>
真山 仁さん
小説家
「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「ロスト7」