3月の練習での手応えと、着実な成長を狙って行く姿勢

2月の全日本実業団ハーフマラソン10kmの部で優勝したときの記事(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1721483)で触れたように、以前は故障が多かった山本が、昨年からは「(殿部や大腿裏など)大きな筋肉を使って走る感覚をつかんだ」ことで故障が減っている。

1月の合宿でスピードより距離を踏み、自身初めての10kmの距離も「抵抗なく」走ることができた。「ピークを合わせず、4月からの5000mに向けて一度レースに出ておくか、くらいの気持ちでした。あと2か月でどれだけ自己記録を出す状態に持って行けるかが課題です。4月からは自己新の走りを続けていく」と話していた。

そして2月に話していた通りの結果を金栗記念で出した。野口監督は「3月に海外の試合を走れなくなって、代わりにチーム内で設定の高いタイムで練習をしました。それでトラックにシフトできる確実な手応えがありましたね」と説明する。女子5000mの東京2025世界陸上参加標準記録は14分50秒00。野口監督は「標準記録を破って世界との戦いがスタートする」と話す一方で、「今年中はどうか。挑戦できるレースでは速いペースも試しますが、着実に成長していく方が良い」という考えも示した。

5月はゴールデングランプリの3000m、アジア選手権の5000mでポイントを取り、9月の東京2025世界陸上出場資格を確実にするプランで進める(代表入りは7月の日本選手権の結果などによる)。記録はまずは、15分ひと桁をチャンスがあれば狙って行く。「3月のような練習が日常的にできれば、標準記録も見えてきます。練習では1周72秒(5000m15分00秒)より速いペースも行っています」

欲張らず、やるべきことはやっていく。これまでと同様のスタンスで、レベルを上げていくのが山本のスタイルだ。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)