逆さ「ちょうちん」その理由は

冬場や天候の悪い日を除き週に2度ほど出店します。
細心の注意を払い、15分ほどの場所にある青葉通へ向かいます。

かつて80軒が軒を連ねていたという仙台の屋台ですが、仙台市や宮城県警が、衛生面などを理由に「一代限り」と決めたため次々と姿を消していきました。
今は内田さんの大分軒1軒だけです。
30年前、1995年の映像がtbcに残っています。

リポーター(当時):
「さてこちらは、支那そばの大分軒さんなんですね」


トレードマークの逆さに吊るした「赤ちょうちん」です。

リポーター(当時):
「こんばんは。こちらのちょうちんは、なぜ逆さになってるんでしょうか?ご主人お忙しいなか申し訳ないですが、なぜ逆さまなんでしょうか」
(接客に忙しい内田さんは無言を貫く…)

当時61歳の内田さんです。
ハチマキと人柄、そして支那そばの味は30年経っても変わりません。
ただ、さすがの内田さんも物価高には敵わず、2024年に100円値段を上げました。

大分軒 内田菊治さん(91):
「今、仕入れはスーパーのロピアに凝っているんだ。開店と同時に行っている。そうじゃないと人がいっぱいで」

ところで、逆さに吊るした「ちょうちん」の理由。

かつて屋台がひしめきあっていたころ、少しでも目立とうと始めたのがきっかけだそうです。
ちょうちんの中に雨が入り込むのを防ぐ役目もあるんだとか。

内田さん、90歳を超えてなお店を続ける理由はシンプルです。

大分軒 内田菊治さん(91):
「楽しい。しゃべると長生きする。仲間といっぱいしゃべって。家から学校に来るのと一緒。今日が楽しければいい。明日ってのは考えていない。かっこいいでしょ」

昭和のたたずまいを今に残しながら、大分軒は仙台の屋台文化を守り続けています。
91歳の内田さんは、今後も体が動く限り営業を続けていきたいとしています。

「大分軒」は不定期で開店するため、営業しているか確認したいときは実際に仙台市の青葉通を訪れる必要があります。