星浩氏「アメリカとの距離感見直す議論も」

藤森祥平キャスター:
日本時間7日の午後9時ごろから、石破総理とトランプ大統領が電話での会談を行いました。終了後、記者団の問いに石破総理は、「最も適切な時期にアメリカを訪問する」という内容を繰り返しました。
一方、トランプ大統領はSNSで「アメリカは貿易面で非常に不利な扱いを受けている。私たちの車は買わないのに、私たちは日本の車を何百万台も受け入れている」と投稿しました。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
選挙でも車の労働者の支援を受けたり、票をとってきましたから、トランプさんは車に関心がありますね。石破さんは訪米を狙っていますが、訪米するからにはある程度、今回の関税政策の見直しをしてもらわなきゃいけないわけです。中身の合意ができるかどうかが難しいので、訪米はそう簡単にはいかないと思います。
藤森キャスター:
25分の電話会談でも、聞く耳を持ってもらうような具体的な話はしなかったんですかね。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
そうですね。当面の対応としては、例えば車に関心があるので、「日本でアメリカ車を受け入れるような枠組みを作りましょう」というようなことは考えられますが、左ハンドルの大きなアメリカの車が日本でそう簡単に受け入れられるかどうかは、疑問ですよね。
それから今回、おそらく石破さんの本音は、「日本だけお目こぼししてください」というアプローチはもうしないスタンスなんですね。なぜかっていうと、東南アジアは非常に高い関税をかけられていますので、日本だけ抜け駆けで関税を下げてもらうっていうことは日本外交としてもやらないということ。なので、この辺も含め、全体の見直しを求めるのはそう簡単ではないということになってきますね。
藤森キャスター:
星さん、日本はここからどう手を打っていくべきなのか、打つ手があるのか?
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
短期的には報復関税があります。ただ、中国はトウモロコシや大豆を大量に買っていて、これを中国が発動するとアメリカにとって非常にダメージがあるんですが、日本にはそういう手はないんですね。ですから、日本は自由貿易が大事なんだと、関税どんどん引き下げていった方がいいという理念、大所高所の理念を掲げていった方がいいんじゃないかというのが、石破さんたちのスタンスですね。
ただこの間、気になるのは、アメリカとの距離をどのように置くのか、日本の国内で議論が動き始めています。
戦後80年、日本の外交っていうのは自由貿易を推進し、圧倒的な軍事力をもとに安全保障を担ってきたアメリカにくっついてきたわけです。そんなアメリカが自由貿易をやめて、これが安全保障にも波及しかねないという状況なので、果たしてこのままのアメリカとの関係でいいのか、というのがおそらく議論になってくるんですね。
中国は最近、日本へのアプローチをものすごく強く進めてまして、日本にとっては長期的に見ると、今までのアメリカとの関係でいいのか、中国との関係を見直していく必要があるのかどうか。人権とか法の支配という価値観では、アメリカにもちろん日本は近いんですけど、ビジネスという点で果たして、中国との関係をどういうふうにこれから築いていくかっていうのはかなり大きな課題になってくると思いますね。
藤森キャスター:
当然、大きな枠組みで、大きく変わっていく可能性が十分考えられるんですよね。少しでも早く私達の負担や市場の不安が和らぐ成果に繋げてほしいと思います。

<プロフィール>
星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年
※動画内で紹介したアンケートは8日午前8時で終了します。