“トランプ関税”に悲鳴「石破さんにも毅然と…」

“トランプ関税”の影響は、日本の企業にも出始めています。

仲卸業者「山治」山崎康弘 社長
「これがアメリカに一番人気のキンメダイ」

東京・豊洲市場で鮮魚を扱う仲卸業者「山治」。アメリカをはじめとする海外にも販路を広げています。

山崎社長
「日本近海の魚の味の濃さとか、脂とか甘みとか、春夏秋冬の旬を感じられるというのが外国の方にウケていると思う」

しかし先週、アメリカは日本に24%の関税を課すと発表。5日に発動された各国一律の10%に加え、9日には「14%」が上乗せされます。

山崎社長
「半分の(海外の)お客さんは様子を見ようということで、発注が半分になっている。(今週の木曜から発注は)予想もつかないぐらい減るんじゃないかと思います。正直7割ぐらいは減るんじゃないかと思っています」

アメリカの取引先からは、こんな切実な提案があったといいます。

山崎社長
「(関税24%のうち)うちらは12%は会社で持つから、例えば、12%ぐらい落ち着くまでは頑張ってもらえないかという話はきている。返事は保留ですよね」

一方、こちらはアメリカの取引先の水産会社。

“トランプ関税”の発表以降、アメリカ国内で取引する日本食レストランなどから、問い合わせが相次いでいるそうです。

サンディエゴの取引先
「実はピリピリしていて、お客さんの問い合わせがすごい。それなりの関税分はお客様に転嫁する感じになるんじゃないか」

山崎社長
「東京の方で24%安い魚を探してくれっていったって、安かろう悪かろうは出したくない」

サンディエゴの取引先
「(顧客のアメリカのシェフは)やはり値段を上げないでくれと。(アメリカ)市民は外食を控える。となるとレストランの売り上げも落ちる」

山崎社長は、石破総理に対し、トランプ大統領との交渉で早急に対応するよう訴えます。

山崎社長
「生きるか死ぬかで商売している、そういうのを霞が関もわかってもらいたい。石破さんも毅然と言ってもらいたい」

日本から食材を輸入するアメリカの店では…

記者
「アメリカで営業する和食料理店も、トランプ大統領の“相互関税”に頭を悩ませています」

アメリカ西部ロサンゼルスに去年5月、オープンしたばかりの創作和食店。

創作和食店 鈴木将士 ヘッドシェフ
「ブリです。日本から真空冷凍してもらっています」

ブリや、ホタテ、コメなどはもちろん、お酒や醤油といった調味料など食材の7割以上を日本から輸入しています。

鈴木ヘッドシェフ
「日本のお米の価格自体も上がっているので、もうなんかダブルパンチって感じで」

仕入先に在庫がある限りはメニュー価格を保ちたいとしていますが、それも時間の問題だといいます。

鈴木ヘッドシェフ
「できる手はしていこうかと思うが、 値段、ボリューム、質を揃えるのは厳しい。(値段を)そのままでいくのは多分もう無理」

日本食をよく食べるという客は…


「値段にもよるが、それでも日本食を、質の高い料理を食べると思う」
「関税が価格に影響を与えるような状況にあるのは残念」

アメリカで大規模デモ トランプの関税政策に疑問の声

デモ
「独裁者のトランプは出て行け!GOT TO GO(出て行け)」

国民に負担がのしかかることになる“トランプ関税”に、アメリカでは今…

記者
「ワシントン中心部ですが、トランプ大統領やマスク氏の政策に反対する人達が、デモを行っています」

「関税で苦しむのは国民だ」というメッセージや、ヒトラーを模したトランプ氏のプラカードを掲げて抗議活動をする人々。こうしたデモは、全米1400か所以上で行われ、トランプ氏就任以降、最大規模となりました。

デモ参加者
「あの人(トランプ氏)は完全に制御不能。国の崩壊を見ることになるなんて。こんなのおかしい」
「トランプがやっているのは国の破壊です。インフラをダメにして、経済まで破壊して、味方だった国も敵に回して、世界から孤立してしまった」
「関税が良いものと勘違いしている人がいるけど、打撃を受けるのは庶民です。だって全部...すべて値段が上がるんだから」

アメリカでは、かねてからインフレが続いていて、“トランプ関税”によってさらに物価が上昇すると、市民らは訴えています。

生活必需品の卵は、鳥インフルエンザの影響もあり、ニューヨークの食料品店では1パック12個入りで、11ドル=約1600円です。

店では「高すぎて買えない」という客の要望に応え、“小分け販売”をしていますが、それでも3個で3ドル(約440円)の高値となっています。

さらに今、供給量が激減した卵を外国から輸入しているため、その卵にも関税がかかる可能性が高く、今後も価格が高騰するとみられています。

その上で、9日には、アメリカが貿易赤字を抱える国に対し、税率を上乗せする予定で、反トランプの声は、世界中に広がっています。

デモの参加者
「(トランプ氏の)関税政策は世界中の人々の生活に影響しています。彼の思いつきで、最貧国の経済さえ揺るがしているのです」

閣僚のひとり、ベッセント財務長官は、“トランプ関税”が景気後退を招くのではないかという質問に対し…

アメリカ ベッセント財務長官
「(アメリカ経済は)順調に進んでいると思う。景気が後退する理由は見当たらない」

トランプ大統領も、強気な姿勢を崩していません。

トランプ大統領
「インフレは大した問題にはならないと思う。我が国には毎月、何千億ドルもの金が入ってきている。 私が関税をかけたからだ。 いずれ落ち着き、我が国は再び強固になるだろう」