難しい隣国との関係…日中関係のこれから

Q大使は中国でビジネスをしている日本の方とも意見交換されていますが今、中国でビジネスをすることのリスクとメリットをどう考えますか?

金杉大使
リスクと言えば、中国はものすごく競争が厳しい環境ですから、中国で競争して生き残っていくのは非常に難しい。撤退する企業が出てくるのも理解はできるんですね。他方で少なからぬ企業の人たちと話をすると「中国は自分たちにとってのフィットネスセンターです」と。要はここで鍛えて、学んで、このマーケットで勝ち抜かないとグローバルでは競争できませんと。東南アジアやアフリカで、やがて中国の企業と競争するのだからここのフィットネスセンターでしっかり鍛えるのが大事だという気持ちを持ってやっている企業の方たちもたくさんいるので、そういう企業はしっかり応援していきたいなと思います。

Q日中関係というのは一喜一憂しない方がいいんでしょうか?

金杉大使
それは多分、日中関係だけでもないと思います。いろんな国との関係って、国内的な制約もありますし、外部環境もあるじゃないですか。今で言えばトランプ大統領のもとでのアメリカとの関係って、日本も中国も苦労するわけですよね。そういう外部環境もあるのでなかなか一直線に行かない。だから粘り強くやっていくっていうことじゃないでしょうか。

私も、大使館員もみんな言っているんですけども、隣国同士の関係はどこでも難しい。世界中見ても隣国との関係は難しいので、そういう前提で難しい問題はできるだけ管理していくことが大事だと思います。全人代の王毅外相の記者会見も厳しい部分もありましたけれども、最初のところで日本と中国との関係は関係改善の好機を迎えているという前向きな発言もありましたので、できるだけ粘り強く、良い方向に物事が動かせるようにしていきたいなと思います。

Q一方で、今年は終戦80年。中国から言うと抗日戦争勝利80年というので外交的には一つの節目になるんでしょうか?

金杉大使
80年というのは平和国家として日本が世界の平和と繁栄のために貢献してきた80年間でもあって、それに日本は密かな誇りを持っていますと。そういう気持ちで中国の方とも話をしていきたいなと思います。