ブーム到来の可能性十分あり

取材を通して浮かび上がった課題や可能性をまとめると――
・別府と由布院から、さらに大分市に移動したくなる工夫が必要
・大分市民自身がお勧めできる観光スポットを紹介できていない
・「温泉」「食」「観光スポット」をセットにした“面”でのアピール不足
・ビジネスをターゲットにした観光コンテンツ

そもそも、大分市の温泉は、「別府温泉」や「由布院温泉」のような統一名称がないため、情報発信においてネックとなっています。

市が発行している温泉のガイドマップには『大分市の温泉』と表記されていて、ブランド化されていません。大分市観光課の磯村拓海主事は「統一名称は検討したことがない」と明かします。

一方、ビジネスで訪れる人が多いことから、市では出張者向け情報発信サービス「WAKUPO」(ワクポ)を展開するほか、1人でも立ち寄れる飲食店の情報を集めた「OITA BIMI・TAS」(オオイタビミタス)という冊子を制作して、魅力的な飲食店を紹介しています。

大分市観光課 磯村拓海主事:
「WAKUPOは臨海部のコンビナート企業などにQRコードを配布しています。出張者を対象にクーポンを発行していて、飲食店で『生ビール1杯サービス』などの特典が受けられる仕組みです。また、OITA BIMI・TASも駅やホテルなどで配布しています。出張で来た方が大分の良さを家族や知り合いに伝えて、プライベートで来てもらえると良いですね」

大分市の温泉は、源泉数・施設数ともに申し分なく、情報発信や観光導線の工夫次第では、インバウンドの取り込みも十分可能だと感じました。

とはいえ、喧騒から離れた“穴場の温泉”という立ち位置もいいのかな――なんて考えながら、きょうも筆者は湯につかりながらゆったりと空を仰ぎます。

(OBS大分放送 古城秀明)