几帳面な父は書棚に整理していた

冬至堅太郎の日記

父・堅太郎がスガモプリズンで書いた日記は、きちんと整理して書棚に置かれていたという。

冬至克也さん
「父は日記や書いたものをきれいに整理して書棚の中に入れていたんですね。それは以前から知っておりましたが、なかなか読む機会はなかったんです。父が亡くなったときに、そのうちの一つを本にして配った。それを読んだのが最初でありました。父は折りに触れてスガモプリズンのことを話していましたが、その聞いた話と本に書いていたことの内容が被さってきて、父の言葉が深く理解できたということはあったような気がします」

戦犯は戦争が生む理不尽さの一つ

劇場は満員 多くの人が来場

父、堅太郎は戦犯についてどのように語っていたのか。

冬至克也さん
「戦犯で咎められた人たちっていうのは、ほとんどの人が、自分が罪を犯したという意識はないと思うんですね、戦争という大きな力、渦の中で自分たちも相手も同じ様なことをやっていたのが、戦争に負けたということで片方だけが戦犯に問われる。戦勝国が敗戦国を裁くということの理不尽さですよね。これを父はよく語っていました。戦争というのは、戦争が始まる前から色んな理不尽なことがあって、そして終わってからもある。戦犯はそういう理不尽さの一つではないかと思います」

まわりの国から愛される国にするのが”愛国心”

大村由紀子監督と冬至克也さん

最後に戦後80年のいま、思うことは。

冬至克也さん
「父は『まわりの国から愛される国にすることが本当の愛国心なのだ』と言っていました。そうするとアメリカだけでなく、他の国ともそういう関係を築いていかなければならない。戦争は起こそうと思う人間にとっては簡単、でも平和の目的は維持することにある。これは非常に難しいです。だから平和を望む一人一人が、難しいということを肝に銘じて、それに邁進していくということを常に心の中に持っていないといけないと感じます」

映画「巣鴨日記 あるBC級戦犯の生涯」は、キノシネマ天神で4月6日(日)も上映される。