まちのまんなか「まちのラジオ」1日限定放送

災害時に情報を伝える・得るための手段としてよくあげられるラジオですが、ラジオの電波がほとんど入らない町野町では、能登半島地震の時も、奥能登豪雨の時も情報の伝達が大きな問題となっていました。

能登半島地震の発災以降、私の家族が朝市通りの大規模火災の被害を知ったのは、地震から10日後のこと。避難所に非常用電源が入って明かりがつき、それに伴って設置されたテレビで初めて知ったほどでした。

このような情報における課題を解決しようと、町野復興プロジェクト実行委員会さんの働きかけにより、一般社団法人オナガワエフエムさんのご協力を得て、臨時災害放送局設立に向けての実証実験の準備が進められました。

臨時災害放送局「まちのラジオ」のチラシ 提供:町野町の有志の方

総務省北陸総合通信局さんが免許の部分を、当日のスタッフワークの部分では石川、富山、福井、北陸3県のコミュニティFMのみなさまから、たくさんの応援やご協力をいただいて、遂に臨時災害放送局設立のための、実証実験が2/23に町野町で実施されることとなりました。

このような情報における課題を解決しようと、町野復興プロジェクト実行委員会さんの働きかけにより、一般社団法人オナガワエフエムさんのご協力を得て、臨時災害放送局設立のための、実証実験が2/23に町野町で行われました。

1日限定放送ということで立ち上げられた、臨時災害放送局「まちのラジオ」は、当日10時、何とも言えない緊張感のあるカウントダウン後に放送がスタートしました。

パーソナリティには元NHKアナウンサーの武内陶子さん、フリーアナウンサーの車吉章さんにお越しいただき、楽しいお話で盛り上げていただいたおかげで、ゲストの皆さんや会場の皆さんもすぐに笑顔になり、会場は和やかで楽しい雰囲気に包まれました。

まちのラジオ 提供:町野町の有志の方

公開生放送の町野支所のラジオスタジオには、集まってくださった町野町のたくさんのみなさまや、金沢市や富山県等からもスタジオに来てくださったみなさまのおかげで満席となりました。

町野町第1団地、町野町第2団地、もとやスーパーさんなど、町野町の4ヶ所に設けられた移動会場にもたくさんの方が訪れ、町野復興プロジェクト実行委員会さんによると、全会場で延べ250人超のみなさまが集まってくださいました。

今回の1日限定放送に先駆け、仮設住宅やもとやスーパーさんで事前に募集していた手書きのリクエストカードは132枚、メールでは北は北海道から南は福岡県まで86件のリクエストやメッセージが届き、今回の「まちのラジオ」へのみなさまのご協力、関心の高さを改めて感じられたとお聞きしております。

臨時災害放送局(災害FM)「まちのラジオ」については、町野復興プロジェクト実行委員会のみなさまと地元の有志の方々で運営できるように現在検討を進めていらっしゃるとのことです。

今回の実験放送にご尽力くださった、一般社団法人オナガワエフエムの方々からも、「町野町は避難所も解消しており、災害の緊急時からはフェーズが変わっているところ。これから町の景色が変わり、灰色の景色に見えて心が落ち込むことがあると思います。それでも、町野町には『まちのラジオ』がある。ラジオを通じて、新しいコミュニティで繋がっていける、そう思えるような役割を果たせるようになってほしい」と想いをお話くださいました。

能登半島地震から1年と2か月、奥能登豪雨から半年、報道はこれからまた減っていくかと思います。

復興元年となるこれからも、町野町、そして能登にお心を寄せていただき、どうか忘れないでいただけますと心強いです。

MRO北陸放送では、被災地の声を集め続ける藤本さんが見つめる被災地の現状をNEWS DIGで、毎月掲載します。

藤本透
シナリオライター。アプリゲーム『ノラネコと恋の錬金術』メインシナリオライター。『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル2』のシナリオ執筆に携わるほか、様々なジャンルでの執筆を手がける。石川県輪島市町野町出身で、石川県を舞台に描かれたアニメ「花咲くいろは」の小説版を執筆。2024年1月1日の能登半島地震発生以降、SNSを通じてふるさとの情報を日々きめ細かく発信している。