仮設住宅にようやく入居も「ここは本当の家じゃないからね」 複雑な心境

輪島市内ではおよそ80人の住民が避難所での生活を余儀なくされています。その一方で、ようやく住まいの再建へ一歩を踏み出した人も。

杉平町で建設が進んでいた仮設住宅104戸が21日完成し、入居を待ちわびた住民たちが家具や衣類などを運び入れていました。

入居した男性「半年ほど経ったねぇ。(これで)ちょっこり落ち着いたかねぇ」「すごいキレイですね?!良い感じですね」

地震と豪雨で自宅が被災した山下春枝さんは、20日に2次避難先の金沢市からふるさとに戻ってきました。

ほっとした反面、複雑な心境も口にします。

山下春枝さん(89)「やっと落ち着くとこまで来たけど…本当の落ち着くとこまでじゃないね。ここは本当の家じゃないからね。こんな風に人生迎えると思わなかったわいね」

地震と豪雨の二重災害となった被災地では、いまだ倒壊した住宅がそのままとなっている場所も。さらに懸念されているのが、豪雨によって河川に堆積した大量の土砂です。

国土交通省は、地震と豪雨により河川に堆積したままで、今後、流れ出るおそれのある不安定な土砂が、東京ドーム2個分にあたるおよそ250万立方メートルに上ると推計。国は6月までの撤去完了を目指しています。

被災地にもようやく本格的な春の足音が近づく中、1日も早い心安らぐ生活の再建が求められています。