電気自動車やAIなどの広がりを背景に需要が高まる半導体。中でも省電化が期待できる「パワー半導体」は成長が見込まれていて、研究が進んでいます。大分大学発ベンチャー企業の取り組みを取材しました。

熊本県菊陽町に進出した台湾の半導体製造大手「TSMC」。かつて世界の半導体生産で高いシェアを誇っていた日本は現在、外国からの追い上げに苦しめられています。

大森准教授:
「他の国にどんどん追い抜かれて、CPUやメモリを作る半導体の企業ランキング順位に日本は入っていません。しかし、『パワー半導体』は日本のお家芸となるような技術です」

「パワー半導体」とは電気の流れを制御して電力の損失を減らし、省エネ性能を向上させるデバイスで、家電製品や自動車など幅広い分野で活用されています。

大分大学の大森雅登准教授は、日本のメーカーが世界シェアの上位を占めているパワー半導体を研究していて、3年前に大学発のベンチャー「ネクストセミコンダクター」を立ち上げました。

大森准教授:
「この新しい半導体を使うことで、無駄に消えてしまう電力を少なくすることができます」

大森さんが研究するのは、新素材の窒化ガリウムを使用したパワー半導体です。電力損失は、従来のシリコン素材に比べ10分の1。低消費電力が求められる電気自動車や太陽電池などへの活用を目指しています。

大森准教授:
「エネルギー問題が非常に課題になっていますので、これを世に広めて、世の中で使われるようになれば、少しでも省エネにつながる」