山林火災は現場だけの話ではない

 山林火災では現場から離れて暮らす人たちに関係する問題があります。山林火災がもたらす4つの不安要素は以下のようなものです。

■温暖化スパイラル
 温暖化が進行→森林が焼ける→山林面積の減少→二酸化炭素吸収量が減少して温暖化が進行するという不安

■土砂災害リスク
 強く大きな木が燃えてなくなると根を張って土壌を安定させているものがなくなり、土砂災害リスクが上がる不安

■生物多様性の消失
 オーストラリア火災ではコアラも犠牲に。火災によって生息している動物や植物の住処などが消失するリスク

■永久凍土から…
 シベリアなど永久凍土で火災が起きたらメタンガスが放出されます。メタンガスの温室効果は二酸化炭素の20~30倍となっていて、より温暖化が進行する不安
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 かつて自然界において、山林火災は“良い循環”ももたらしていました。火災で焼け野原になった場所に、新たに多様な生物が育ち、新しい森が育ち、若い木は、年期の入った木よりも二酸化炭素をよく吸収するというサイクルです。

ただそれは、山林火災が起きる間隔がそれなりの長さ、という状況下での話です。

 山林火災のサイクルは温暖化とともに短くなっているとされます。そうなると“悪13.jpgい循環”になります。短いサイクルで次の火事が起きると、次の森が育っていないし、もし生き残るとしても外来種など火災に強い生物・植物だけになり、多様性が失われていくということに繋がります。