「そもそも消防車が来ない」

記者
「一度も消防車が来ていません?」

市民
「いっぺんも来ん」

記者
車が大渋滞で、1時間で4キロ進めばいい」

多くの道路が破壊され、通行できなくなり、限られた道に一般の車があふれました。近隣の県からきた消防隊は、到着が大幅に遅れました。かかった時間は「7~8時間」だったといいます。

消防車が来ないため、住民は自力で消火せざるを得ませんでした。小さいバケツを持ち、「俺が消したる俺が!」と悲痛な声で叫ぶ男性の姿もありました。

同様の事態が首都・東京でも起こったら…。その備えを進めている地区が、東京・大田区にあります。

細い急な階段や、消防車が入れないほどの狭い路地が入り組む山王地区です。

大田区山王三・四丁目自治会 鈴木英明 会長
「いわゆる消火困難地域。消防車が災害時に来ることは期待できない」

そうなると、火を消せるのは地元住民しかいません。商店街にも、住宅街にも、消火器があちこちに。地区全体ではなんと81か所!いわば「消火器だらけのまち」となっています。

さらに毎月1回、欠かさず防災訓練を行い、住民たちが自ら消防機器に触れて扱い方を学びます。

大田区山王三・四丁目自治会 鈴木英明 会長
「東京は人と人の結びつきが弱いと言われるが、みんなで力を合わせて立ち向かっていくのが大事。1人じゃできません。みんなでやらないとできません