「道筋決めて」進まない最終処分地の選定
埋め立てられる予定の敷地に、井戸水がわき続けていました。かつて、生活用水として使っていたものです。
松永さん「いまもね、時々帰ってきて、お墓はこの上にあるんだけど、お墓は大丈 夫だったから、ここから水を汲んで、お墓に持っていく」

大熊町で農業を営み、町議も務めた松永さん。自宅のあった場所は、代々、先祖から受け継いできた土地でした。
松永さん「代々、何十代と続いてきた家柄だったから、そこでぽつんと途切れるというのは、ご先祖様に申し訳ないなというのはあったから。大熊を一日も早く復興させるためにも、そういうのを受け入れて、いずれ必ずきれいにして戻すからっていう約束だったから、その約束を信じて決断するしかないというのはあったから…」
県外最終処分の期限まで、あと20年。 処分地の選定も含め、 具体的な議論は進んでいません。
松永さん「遅いですね。25年経ったら必ず返しますからという約束していて、も う5年経っちゃっているんだから、だったらその時点で、最初からこの先のことを決めておいてほしかったなって思っているんだけども。それがもう5年も…何やっていたんだろうというのが、やっぱりそういう気持ちは強いですね」

去年、政府は新たな閣僚会議を立ち上げ、今年の夏までに県外最終処分に向けた 工程表を示す方針です。
松永さん「震災から14年経って、やっとここに来て全閣僚出席しての会議の場を設けることに決まったんだけど、だったらいままでの14年って何だったんだろうなという、歯がゆい思いもあるし、何か物事がスローペースで行っているような感じで、この先20年というと、うちは90(歳)の上だから、どうなっているかもわからないし、いないかもしれないんだけど、やっぱりきちっとした道筋というかね、それを決めてほしいというのはありますね」