「やりたいことを絶対やらせよう」 子どもたちは地域の宝に

夕方、寧々ちゃんを訪ね、外国人向けにツアーを行っていた山根さんの娘がやってきた。2人は互いの家を行き来するほど、大の仲良しだ。
そんな2人は、浪江町で行われているダンス教室にも通っている。習い始めて半年、今では周りの子どもたちともすっかり馴染んでいる様子だ。

浪江町も原発事故後、居住者は震災前の2万1542人から、10分の1ほどの2256人に減った(2025年1月末)。そのうち3分の1が移住者になっている。
ダンス教室を運営する狩野菜穂さんも、事故のあと東京から福島に来た移住者だ。

ダンス教室運営 狩野菜穂さん
「『ここの土地はこのまま手がつけられない』と言われ、何でここだけそんな目に遭わなきゃいけないのと。その時に自分が思ったのは、子どもたちがやりたいことを絶対やらせようと。私はここで鍛えさせてもらったし、この子たちは全力で表現してくれている」
双葉町で暮らして2年半。今、子どもたちは地域の宝として大切に育てられている。高久田さんは、この町は子育てをする環境に適していると感じている。

高久田さん
「地域の人たちが皆で子どもを見守ってくれるのが最大の利点だと思っていて、移住前の場所では叶わなかったこと。子どもが幸せに生活できる町になってくれたら」
双葉町が身を切る形で、除染土の再生利用に言及…町長の真意は
双葉町にとって復興の最大の障害が、町内に仮置きされている、除染作業で出た土の問題だ。その除染土をめぐり、伊澤町長の発言が波紋を広げている。
伊澤史朗 双葉町長
「双葉町で再生利用することで、県内の他の自治体にも理解が波及していくのでは
ないかという個人的な考えをお伝えしております」
福島県内から集められた中間貯蔵施設内の除染土は、東京ドーム11個分に相当する。残り20年で福島県外に運び出し、最終処分することが法律で決まっているが、膨大な除染土を少しでも減らすことが喫緊の課題だ。

政府は低濃度の除染土について、再利用するための実証事業を進めている。しかし、候補になった電力消費地の首都圏で反対が起き、事業は進んでいない。
伊澤町長に発言の真意を聞いた。

伊澤 双葉町長
「残念なことに、(中間貯蔵施設)受け入れしてから10年経っていますけども、最終処分に対しての議論が進んでいないということと、この取り組みの理解醸成が進んでいないということが、一番危機的な状況だと思っています」
いわば双葉町が身を切る形で、除染土の町内再利用に言及した。被災地以外での議論が深まるきっかけになればと考えている。
伊澤 双葉町長
「どなたかはやっていただければ一番いいんですけども、やはり一番当事者である我々が、私が話をすることが、皆さんにいろいろな考え方を議論してもらう一石を投じた形になればと思っています」