文教の町・復活へ 孫の夢

双葉町の85%は、今もなお自由に立ち入りができない帰還困難区域。この中にある神社で氏子を務める秀樹さんは、2か月に1度は境内の手入れをしています。この場所には、かつて、子どもたちの元気な声が響いていたといいます。

秀樹さん「文教の町・双葉って言われていたくらい、子どもたちは賑やかだったよね」

新妻さん「夏祭りはここの地区でも一大イベントでしたから、その記憶は強く残っています。地区の人が屋台を出してくれて、くじを引いたり金魚すくいをしたり、そういうのはすごい覚えています」

秀樹さん「次の世代、あるいは次に移住してくる人たちのためにも、残しておかなくちゃっていう責任感があるんです。子どもたち、孫たちが喜んで来られる、行ってみたいなと思える地域にするのが、我々に課せられた使命かなって」

祖父の姿を近くで見ているうち、新妻さんに「双葉町の教育に関わりたい」という思いが芽生えました。

新妻さん「人が戻ってくるには、医療とか教育をきっちり整えていくというのがあるので、将来はこっちに戻ってきて教師になりたいという思いはありますけど…」

しかし、町内にはまだ、学校や病院といった子育てに必要な設備が整っていません。双葉町は現在も町外の仮設校舎で授業を続けていますが、2028年度の開校を目指して新たな学校を建設し、町内での学校教育を再開することになりました。

秀樹さん「ゆっくりでもいいから確実に、幸せを感じられる地域になれるように、次の世代の人には焦らずゆっくりと」
新妻さん「まず第一は人がいっぱい戻って来てくれること、それが復興の第一歩だと思うので、早く人が溢れる双葉町になってほしいですね」

双葉をまた子どもたちの笑い声で溢れる町に。次の世代へ、希望が繋がれていきます。