町に戻る気持ち「時間が消した」
両親が共働きだった新妻さんは、震災前、祖父母の家で多くの時間を過ごしました。現在は東京の大学に通っていますが、祖父母が双葉駅前に家を再建してからは、長期休暇のほとんどをここで過ごしています。
新妻さん「双葉にいると過ごしやすいし、祖父母孝行にもなっていると思うので(笑)」

原発事故の影響で避難指示が出された自治体の中で最も遅く帰還が始まった双葉町。町内に今住んでいるのは、住民票を置いているおよそ5300人のうち、わずか180人ほどです。
秀樹さん「みんな帰りたいと思っているよ、全国に行っている町民は。でも時間がそれを消した。戻ることだけ考えていたんじゃどうしようもないから、避難して5年くらいしたらそこで喜びを見つけて、そこに故郷を作ってということに重きを置かざるを得なかった家庭が大半じゃないですか」
避難生活の長期化により、若い世代は、双葉町よりも避難先で過ごした時間が長くなりました。
新妻さん「震災当時、年長とかですから、こっちの記憶もない人が多いので、戻りたいという気持ちがなかなか生まれてこないっていうのが普通なんじゃないですかね」