「花笠を身近なものにしたい」
花笠づくりはかつて、沖縄の人々にとって内職の定番だった歴史がある。1970年代、沖縄土産として人気が高かった琉球人形。その小物として盛んにつくられていたのが、花笠だった。

【当時のRBCの放送】
「北谷町に住んでいる喜瀬まさこさんは、ふたりの子どもをみながら花笠を作っておりまして、1日3時間程度で千円程度を仕上げております…」
1年前に他界した尾崎さんの祖母・ツルさんも、琉球人形の小物づくりから職人人生をスタートさせた。
▼花笠アーティスト 尾崎由香さん
「亡くなるギリギリまで花笠の注文を受け、作っていたんです」
ツルさんは、ハサミが握れないほどの状態になっても、尾崎さんの手を借りて制作にあたっていたという。
「(葬儀の)祭壇に花笠を飾らせてもらったときに、すごくきれいで、おばあちゃんがまだ生きてる感じがするというか」「おばあちゃんの想いだったり、今まで作ってきた花笠をなくしたくないなと思って、私が続けることにしました」
職人は高齢化していて、他界したツルさんのほかに60代、80代後半の2人しかいなかった。ツルさんの跡を継ぎ、本腰を入れて花笠づくりに臨むことにした尾崎さん。観光土産としての需要減少など花笠を取り巻く状況は厳しいが、打開策として挑戦しているのが、ワークショップだ。

取材に訪れた日の参加者は県内在住の親子だったが、沖縄ならではの体験を求める旅行者からの問い合わせも増えている。