中継ネットワークを使ったバーチャル公開討論会の実施を

あるいは、選挙期間中に候補者同士が政見を述べあう「討論会」自体をテレビ局が主催する方法もあります。現行法制では、立会演説会制度が廃止されているため、多くの公開討論会は公職選挙法の規制がかからない公示前に行われることとなっており、地方の首長選挙などでは地元のケーブルテレビが主催し、あるいは開催に協力することがよく行われています。

一方、必ずしも選挙期間中に候補者同士が政見を述べあうことが直ちに違法というわけではありません。選挙カー同士が離合したり、あるいは街頭演説が被ってしまったりすることで、意図せずとも接触することはあります。

テレビ局のネットワークを使えば、別の場所にいる候補者同士が中継を通じて政見を述べあったりすることも技術的には可能ですし、現行法制のなかでも選挙期間中の候補者の討論の実現に挑戦することはできるでしょう。

アメリカ大統領選挙では、テレビ局が主催する候補者討論会が選挙の大きな山場となっていて、候補者たちの一挙手一投足が注目されます。選挙の山場づくりに貢献するスキームを作り上げれば、テレビが選挙報道の確固たるポジションを再び取ることもあるのではないでしょうか。

〈執筆者略歴〉
大濱崎 卓真(おおはまざき・たくま)
選挙コンサルタント・政治アナリスト
1988年生まれ。青山学院高等部卒業、青山学院大学経営学部中退。
2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。
不偏不党の選挙コンサルタントとして衆参国政選挙や首長・地方議会議員選挙をはじめ、日本全国の選挙に政党党派問わず関わるほか、政治活動を支援するクラウド型名簿地図アプリサービスの提供や、「選挙を科学する」をテーマとした研究・講演・寄稿等を行う。
『都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ』で2020年度地理情報システム学会賞(実践部門)受賞。日本選挙学会会員。

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。