想定以上の漏水が続く熊本県産山村の国営大蘇ダムについて、九州農政局は2025年度から補修などの対策工事を行う方針を明らかにしました。
大蘇ダムは熊本県阿蘇市と産山村、大分県竹田市に農業用水を供給することを目的に1979年に着工しました。
ダムは高さ約70メートル、長さ約260メートル、有効貯水量は約390万トンの規模で完成しましたが、2005年の試験湛水後に想定以上の水が漏れていることが判明。補修工事を行って2020年に供用が始まりましたが、その後も漏水が続き、九州農政局が原因を調べていました。

そして2月26日に熊本市で開いた安全性評価委員会で、有識者などに調査状況を説明した九州農政局によりますと、以前の補修工事の際にダム湖の斜面部をコンクリートで覆ったものの、そのコンクリートのつなぎ目から漏水が見つかったほか、ダム湖の上流部でも新たに漏水を確認しました。
漏水は、ダム湖全体から地下に浸透。満水時には1日に最大で約2万5000トンが地下に浸透していて、このうち約6割がダム湖の上流部分から、地下に染み出ていました。

そのため国は2025年度から、コンクリートの補修工事や上流部での漏水を少なくする新たな工事に取り組みますが、追加工事の費用は国費で賄い、地元には負担を求めない方針です。
止まらない漏水に対し、補修工事を繰り返した結果、事業開始当初は約130億円だった総事業費は現在、6倍近い約720億円に膨らんでいます。














