米ウ首脳会談決裂でヨーロッパの尻に火がつくか

井上貴博キャスター:
やり取りを数十分間にわたりすべてカメラに公開するのは、いわゆる“トランプ流”だと思いますが、この映像を見た際、トランプ大統領がドラえもんに出てくるジャイアンにしか見えなかったです。

ウクライナは、アメリカの支援なしには立ちゆかない。その足元を見て「レアアースをよこせ」とある意味、弱いものに対して迫る。これは目に余ると思いました。

厄介なのは、ヨーロッパが一枚岩にもなっていないことです。プーチン氏とゼレンスキー大統領の間にも入れなさそうで、安全保障も見えてこない。そうすると、“ジャイアン”頼りでやっていくしかないのか、これによりヨーロッパの尻に火がつくのか。

秌場聖治さん:
ヨーロッパの尻にいくら火がついても、“ジャイアン”なしにはやっていけないということは、ヨーロッパもゼレンスキー大統領もわかっている。だからこそ、ゼレンスキー大統領は会談終了後も「公の場でやるべきじゃなかった」という発言もしています。

ヨーロッパ側も急いで集まり、「いや、大変だったね」と。「僕らでも案を作って、アメリカを説得しよう」という方向に持っていき、アメリカなしでやろうとは全然思っていません。それは不可能なんです。

宋美玄さん:
ゼレンスキー大統領から見たら、「海を隔ててるからアメリカには脅威がわからない」と。そこでトランプ大統領が「そんなことはない」という感じでこうなってしまったのかなと思います。

両方の立場や思惑もわかりますし、カメラの前でああいったことを言ったのは得策ではなかったですが、SNSなどを見ると、世界で「ゼレンスキー大統領やっちまったな」「なんてことするんだよ」という雰囲気にもなっていない気がします。

そこでゼレンスキー大統領の失敗をすごく言うより、例えばヨーロッパがもう少し固まるのか、災い転じて福となす感じでトランプ大統領ともう一度良い関係になっていけるように、雰囲気を作っていくのがいいのかなと思います。

井上貴博キャスター:
トランプ大統領を見ていると、ウクライナにこういった行動で不利で理不尽な“条件”を突きつけるということは、周りや日本にもそういう行動に出るかもしれない、というのは思っておかなければいけないのかなと感じました。

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<プロフィール>
秌場聖治さん
TBS報道局 前外信部長
ウクライナ侵攻を現地取材

宋美玄さん
産婦人科医 2児の母
女性の健康などのテーマを発信