■《「特定少年」の定義とは…》
内田健太弁護士(元裁判官)
まずは、犯罪行為をした18歳と19歳を意味します。
もともと成人年齢は20歳でしたので、20歳未満は“未成年”として、“少年”も同様に20歳未満とされていました。
ただ成人年齢が18歳に下がりました。その際、少年の保護も18歳まで引き下げるべきではないかという議論もありましたが、民法が変わったとしても、少年の更生がすぐに変わるわけではありません。
そこで“少年は20歳未満”という部分を残して、民法上は18歳と19歳は“成人”であっても“少年”として扱われることになったわけです。つまり少年と大人の間の、18歳と19歳は“特定少年”と扱っています。
堀内大輝アナ)
特定少年がかかわった罪という観点からは、どうでしょうか?
内田健太弁護士(元裁判官)
特定少年と少年の違いで言うと『少年』は、刑を言い渡されるとしても『不定期刑』、何年から何年までの間という形になります。
一方『特定少年』の場合、刑事裁判になれば、成人と同じように刑は何年と言い渡されますし、起訴された場合、実名報道が解禁されることになります。
堀内大輝アナ)
犯行時19歳だった被告は『特定少年』であるわけですが、 裁判員や裁判官の判断、そして量刑に影響を及ぼすことはあるのでしょうか。
■《量刑などの判断に影響を及ぼすことは…》
内田健太弁護士(元裁判官)
少年とはいえ重大犯罪であれば、一律に“厳罰と”いう流れがあることも事実ではあるものの、18歳、19歳は法律上は“少年”で“更生の可能性がある…”ということが基本理念です。
もちろん事案の重大性ということは、しっかりと判断されるべきです。
しかし、評議の中では、裁判官は、裁判員に少年法の考え方ということもしっかり伝えた上で、この事案に見合った刑とはどういうものなのかについて、適正な判断をしてもらいたいと考えています。
堀啓知キャスター)
あくまでも少年法という考え方が、基礎にあっての判断ということが重要だということですね。
堀内大輝アナ)
同じく殺人などの罪で起訴されている内田梨瑚被告(22)については、まだ裁判の日程は決まっていませんが、関係者への取材では、公判では『否認』するとみられています。
27日に裁判員裁判が始まった被告(20)の主張と大きく食い違っていることについて、内田弁護士はどうみていますか?
■《内田梨瑚被告(22)の公判への影響は?》
内田健太弁護士(元裁判官)
一つの事案で、同じ罪に問われている被告が複数いる場合、どちらも「やっていない」と主張するか、あるいは「やっている」という前提で、被告同士が互いの責任を押し付け合うケースが多いんです。
しかし、今回の事件では、1人は認めて、1人は認めていないという、やや異例のケースと考えています。
ただ、27日から始まった当時19歳だった女の被告(20)自身は罪を認めているので、今回の裁判の中では『殺人』が成立することを前提に審理は進められていくだろうと見ています。
堀啓知キャスター)
『特定少年』である女の被告(20)の裁判員裁判は、来月7日に判決が言い渡されます。
■【おことわり】
HBCでは、18歳と19歳の特定少年の被告を実名で報じるかどうか、事件ごとに判断しています。今回の事件は、1人の高校生の命が失われた結果の重大性、社会的な影響の大きさなどを総合的に判断した結果、地上波テレビ放送では実名で報じることにしました。なお、デジタル配信の記事は、半永久的に残るインターネットの特性を考慮して匿名で報じています。
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