2月23日の「世界遺産」では、「人はどうやって暦や時間を知ってきたのか?」という歴史を世界遺産でたどる特別企画「世界を変えた星と時計」として放送しましたが、ここでは「世界遺産」でこれまでに取り上げてきた天体観測施設とそれにまつわるとっておきの秘話をご紹介します。

中国に現存する最古の天文台

中国河南省の登封という街には、13世紀に元(げん)の天文学者・郭守敬(かくしゅけい)が建てた中国に現存する最古の天文台があります。

当時、中国では登封を中心に宇宙が回っていると言われていて、そこで得られた観測データはどこよりも正確だと考えられていました。郭守敬は高さ12mの天文台に太陽の光があたり地面にできる影の長さを5年に渡って観測し、太陽の高度の変化を記録しました。

そして夏至や冬至の日に太陽が一番高くなる時刻を把握し1年の長さを割り出したのです。そのことなどから郭守敬は1年を365日と5時間49分12秒と定め、暦を作ったのですが、それは当時、世界一正確な暦だったと言われています。