日本記録を出したい「“無理でしょ”と思われているかも...」

池田は23年2月の大阪でマラソンデビュー。それまでの初マラソン日本最高(当時)を上回る2時間06分53秒をマークし、同10月のアジア大会の代表となり6位に入った。

24年はパリオリンピック™代表を狙い、3月の東京マラソンは招待選手としてエントリーするも故障で欠場。五輪出場は叶わなかったが、その後のベルリンマラソン(9月)で自身3度目のマラソン挑戦も日本歴代2位の好記録でフィニッシュした。

これまでのマラソン挑戦を振り返った池田は「アジア大会の失敗であったり、パリ五輪への挑戦ができなかったという思いも」と悔しかった部分に触れ、「(昨年は)東京マラソンのスタートラインに立てず、オリンピックを諦めるという形になったことが非常に悔しい要素ではあって。そこからどういう目標設定をしたらよりモチベーションを高くして取り組めるかって考えていたときに、“マラソンで日本新記録を出したい”という気持ちになって。それは僕自身がそういうふうに決めてやったことなので」と語り、初マラソン後の失敗や苦悩が次のステップへの原動力になったという。

「周りに無理でしょとか、そういうふうに思われるっていう部分はあったかもしれないですが、僕自身は“やれる”と思ってそこから挑戦してきた。結果的に(日本記録まで)10数秒届かなくて、まだまだ僕自身の足りない部分ではあったんですけど、できるという気持ちで取り組んできたことが形になったのかな」と目標達成への強い気持ちが歴代2位のタイムへとつながったと口にした。

東京マラソンから東京世界陸上へ「今回自分の本物の力が試される」

「大きな流れとしてはロス五輪(28年)というところを見据えている中で、世界陸上が間近にあり、それが手に届きそうなところにあるというか、注目していただいている部分ではあるので」と世界陸上の代表入りを見据える池田。

その代表争いが激化する中、「準備が順調にできている段階」と意気込む池田は「初マラソン選手が勢いで走ってくるっていうのは、僕もそうだったんですけど近年ではよくあるというか。その一発を(好記録で)走るけど、2回目3回目で(上手く)走れないっていうのは、最近はよく傾向としてあって、そういう選手が代表になって結果を残すっていうのは難しいことなのかな」とし、「そういった意味で、今回の東京マラソンっていうのは、自分自身の本物の力が試される場ではあると思っていますし、そういう中で勝ち取って、代表権(を手にする)っていうのが非常に価値のあるもの、本当に強い選手と思ってもらえるんじゃないかな」と気持ちを新たにした。

さらに「去年の(出場できなかった)思いも含めて走れるということを楽しめるように。(記録更新を)追いかけてしまうと、力んでしまったり、自分のパフォーマンスを発揮するのが難しくなってくると思うので。記録記録ってなりすぎないように。楽しめるようなレースがしたい」と静かな闘志を燃やした。

24日に行われた大阪マラソン前の時点では、東京世界陸上の選考会での参加標準記録(2時間6分30秒)の突破者は、平林清澄(24年2月大阪)、吉田祐也(24年12月福岡)、若林宏樹(25年2月別府大分)の3人で、同マラソンを終え、日本人トップの近藤亮太(25、三菱重工)をはじめ新たに6人が加わった。

近藤は日本歴代5位(2時間5分39秒)の好走で、初マラソンの日本最高記録を更新。細谷恭平(29、黒崎播磨)、黒田朝日(20、青山学院大)、菊地駿弥(26、中国電力)、日本記録保持者の鈴木健吾(29、富士通)、柏優吾(24、コニカミノルタ)が2時間6分30秒以内でフィニッシュした。

男子は今回の東京マラソンが国内最後の選考会となり、パリ五輪代表・赤﨑暁(27、九電工)ら有力候補が招待選手としてエントリー。好記録が次々と誕生している選考会が続く中、勝負の大一番が迫っている。