矩形断面が珍しい明治時代の隧道「キリズシトンネル」

江戸時代、中津市と宇佐市を往来するには境にある峠を越えるしか手段がありませんでしたが、明治時代に入って隧道が掘られ、新たな道が完成したことで容易に往来できるようになりました。しかしその後、さらに幅の広い道が造られたため、かつての隧道は昭和20年代に廃道になったそう。
その廃道に眠る隧道が、明治3年竣工(1870年)の「キリズシトンネル」。山を部分的に切り開いて造った道「切り通し」がなまって、「キリズシ」になったのが名前の由来とされています。現代には珍しい矩形(くけい)の形状をしており、今も通り抜けることができます。

内部はノミで削られた跡が残っており、人力で掘り抜いたことがうかがえます。途中の壁面にある等間隔に掘られた窪みは、明かりを灯すロウソクなどの設置に使われたのではないかとのこと。
また、中間部分がカーブしているのは、両サイドから掘り進めたところ軌道がずれてしまい、修正して接続されたためのようです。
2月27日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より