“石破・トランプ会談”の評価は
トランプ大統領が先日公表した「相互関税」は日本や韓国というアメリカの同盟国も多大な影響を受ける可能性がある。そんな中で石破総理は国会日程の合間を縫って訪米、日本時間の2月8日未明にトランプ氏との初の首脳会談に臨んだ。トランプ大統領は1期目での安倍総理(当時)との親密ぶりが記憶に残る。石破総理と安倍氏は政治スタイルがかなり異なり、自民党内で対極的存在と位置付けられてきた。ある党幹部は「安倍さんのような外交は石破さんには難しいだろう」と首脳会談の行方を危ぶんでいた。
ただ会談の映像を見る限り、トランプ氏は対日貿易赤字の是正を口にしながらも落ち着いた様子で、石破総理の言葉に耳を傾けうなずく場面もあった。共同記者会見では「彼は強い男だ、自分には少し弱いくらいがよかったが、偉大な総理になる」と持ち上げてみせた。
石破総理はトランプ氏について「テレビで見ると声高でかなり個性強烈で、恐ろしい方だという印象がなかったわけではない」と発言、トランプ氏本人は笑いながら首を横に振っていた。
続けて総理は「実際にお目にかかると本当に誠実で力強い、強い意志、合衆国、世界に対する強い使命感を持たれた方」と評した。“強い”というワードを繰り返したのは、トランプ氏が自身をどう見せたいのか分析した上でのことだろう。ひとまず“日米関係、波乱の幕開け”は回避できた。

この会談について、自身も総理在任中、当時のオバマ大統領と会談した野党・立憲民主党の野田代表は「今回は石破総理自身というよりも日本の政官財の総力をあげて入念な準備をしたと感じる。二国間関係の懸案については大体うまくいく方向の確認ができている」と評価した。
普段、石破総理とよく電話で話すという連立のパートナー、公明党の斉藤鉄夫代表は渡米前の総理について「本当に緊張感が漂っていた。とても電話して『頑張って行ってきてください』と言える雰囲気がないくらい緊張していた」と明かした。そして「帰ってこられて電話をいただいたが(総理は)『やっと済んだ…』という感じだった。一つの達成感、安心感はお持ちではないか」と述べた。

会談についてアメリカのニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストは、“関税回避のためのお世辞攻勢”といったトーンで報じた。日米首脳会談を受けた国会報告で、野党は日米共同声明に「法の支配」という言葉が盛り込まれなかった点を問題視した。石破総理は「我が国として法の支配を重視する立場に全く変わりはなく、今回の会談では、この立場を踏まえて様々な課題についてトランプ大統領と議論を行った」と答弁している。














