2025年、アメリカにトランプ大統領が戻ってきた。就任から1か月も経たぬうちに世界秩序を大きく揺るがす発信を続けている。日本と韓国は共にアメリカと同盟関係にありながら「アメリカ第一」を追求する“トランプの政策”の標的となりうる。国交正常化から60年という節目を迎える両国はどう備えるべきなのか。
連日の“トランプニュース”
BS-TBSの「報道1930」では“トランプ発”ニュースを深掘りし、連日のように報じている。
大統領就任直前のトランプ氏は、中国・ロシアの脅威を念頭に「国家安全保障」のためとして北極圏のグリーンランド獲得に意欲を示した。「通航料が高い」といった理由で国際公共財とも言えるパナマ運河の返還を求め、物議を醸した。「最も美しい言葉」とする“関税”をカードに、友好国も含め妥協を迫るやり方もアピールしている。

隣接するカナダ・メキシコに対する関税措置は当然、反発された。しかし両国が不法移民対策などに取り組むことを受けて、当初予定された2月4日の発動に1か月の猶予を与えた。これに対し、中国への10%の追加関税は発動されている。中国政府は2月10日からアメリカ輸入品の一部に最大15%の関税を課す対抗措置に出ている。
自民党の佐藤正久 元外務副大臣は「隣国のカナダ・メキシコとの間では重要なモノが行き来している。本気で関税戦争をやったらアメリカも相当“返り血”を浴びるが、中国とは距離感がある。あとで電話会談を行い、ディール(取引)してもいいだろうという考えがあったのでは」と分析した。その上で「中国が報復関税をかけてくるなら、トランプ氏はさらに20%、30%と上げる可能性もある。ディールのためにどうするかが基本だ」とした。

トランプ大統領は硬軟を織り交ぜながら最大の脅威、中国に揺さぶりをかけ続けるだろう。
2月10日に放送された保守系FOXニュースのインタビューでは、大統領就任後に習近平国家主席と電話会談を行ったことを認め「彼と話をするのは好きだ」と言った。会談内容は明らかにされていないが、対中貿易赤字が「年間1兆ドルを超える」とし「今のように大金を持っていかれるようなことはさせない」とも強調している。
中国外務省の報道官は大統領就任前の両首脳の電話会談は認めているが、就任後の会談については明確な回答を避けた。今のところ中国のアメリカに対する報復的措置は限定的とされる。JETRO=日本貿易振興機構は第1次トランプ政権時の追加関税の応酬と比べると「金額は比較的小規模」とみている。アメリカの出方をうかがう中国は、いつ、どんなディールを仕掛けてくるのだろうか。