◆異例の判断「もし存在を知って、苦痛を感じれば“いじめ”」

息子の死から2年経ち、門真市の第三者委員会はインスタグラムに匿名で投稿されていた誹謗中傷について、いじめと認定。さらに息子が直接目にしていないLINEグループ内の陰口についても、いじめと認めた。

「もしその存在を知ったら、心身に苦痛を感じる」というのが判断の理由だった。その上で、いじめと自死との因果関係を認めた。

「匿名の誹謗中傷も、息子の知らなかった陰口も『いじめ』である」この第三者委の判断について、いじめ問題を科学的に分析する専門家「子どもの発達科学研究所」の和久田学所長は、特にSNS上の陰口をいじめと認定した点を、「かなり踏み込んだ内容、極めて珍しい」と評価している。

◆24時間いつでもいじめ…“SNSいじめ”の恐怖

どうして、悲劇は起きてしまったのか。“SNSいじめ”ならではの深刻化しやすい特徴を和久田学所長は3つ挙げる。

・「自分の名前を言わなくてできる、責任を問われない、と思ってしまう」こと
・「誰にも見られていない、注意されないため自己制御がきかない」こと
・「簡単で、あっという間にできてしまう」こと

そのため、「SNSいじめは、どこまでも追いかけてくる。学校だけでなく、24時間いつでもいじめがおきる」と、終わらない怖さを指摘する。

和久田所長は、大人の側の心構えも重要だと話す。「今の子どもたちはネットデビューが早く、はじめが肝心」であり、はじめてスマホやタブレットを手にする際に、リテラシーを教えたり、「もし、いじめと感じることがあったら、親に相談する」などルールを決めたりするべきだと指摘する。