わずかな気温差で雨にも雪にも変わる…予報の条件が複雑に

では、本州付近を南岸低気圧が通過する場合、大雪が降る可能性が高くなると考えてよいのでしょうか?実はそう単純にはいきません。太平洋側の大雪は、気象庁のサイトにも「予報が難しい現象」と書いてあるほどやっかいなのです。

片山予報士によると、「関東地方は日本海側と違い、気温が0℃以下になることはほとんどありません。雨や雪が降るときの気温は2℃くらいなので、わずかな気温差が雨か雪かを分けるので予報が難しくなります」とのことです。

雨の場合、気温が1℃や2℃上下しても雨は雨です。しかし、雨ではなく雪になるのかどうか、さらにそれがどのくらい積もるのかは、▼地上付近の気温や湿度、▼低気圧の位置や雲の広がり方などいくつもの要因について正確な予測が必要となります。従って、太平洋側の大雪予報は“予報士泣かせ”とも言われるのです。

東京の降雪予想 当たった確率はなんと50%

実際、東京に雪の予報が出た場合、当たる確率はどのくらいなのでしょうか?

片山予報士がまとめた降雪予想の検証結果(2015~2022年)によると、東京23区に雪の予報が出たのが16回、そのうち“当たり”は8回、“外れ”は8回。当たった確率は実に50%です。

“外れ”を詳しく見ると、雪が降ると予想して降らなかった「空振り」と、降らないと予想して降ってしまった「見逃し」に分けられます。外れ8回のうち空振りは6回、見逃しは2回でした。

東京都心では、数センチの積雪でも大規模な交通障害につながることがあります。予報の“見逃し”は混乱を招く原因になりかねないので、気象予報士も頭を悩ませるところです。

気象庁によりますと、降水の有無が当たる確率は“全国の年平均値が83%”です。雪の予報が当たる確率が50%しかないのは、それだけ予測が難しいからとも言えそうです。