ケタ違いに低い開発費用 巨額の投資は不要に?

世界が衝撃を受けた最大の理由は、開発コストが「ChatGPT」などこれまでの生成AIに比べてケタ違いに低かったことだ。

「DeepSeek」はモデル開発にかかった費用が約560万ドル=約8億6000万円で、開発期間も2か月ほどだったと、24日にアメリカの経済専門チャンネル「CNBC」で伝えられた。

折しも、トランプ大統領は就任早々、アメリカでのAI開発にソフトバンクなど3社が合同で5000億ドル=78兆円を投資するという共同事業「スターゲート」を華々しく発表したばかり。これまでAI開発競争は巨額の設備投資こそが競争力の源泉だとみられてきたが、「DeepSeek」が主張するように低コストで高性能のAIが開発できるのであれば、前提が一変することになる。

アメリカによる「対中国半導体規制」も効いていない?

「DeepSeek」は開発に使用したのも安価で性能の低いNVIDIA製の半導体「H800」だとしている。この半導体も現在、アメリカによる中国への輸出規制の対象に含まれているが、中国が性能の低い半導体で高性能のAI開発を実現したとすれば、中国とのAI開発競争を繰り広げているアメリカにとって座視できない事態だ。

また、最先端の半導体開発を一手に担ってきたNVIDIAの成長ストーリーにもにわかに不安が広がり、株価が下落することとなった。