児相職員「私たちを敵だと思わず、支援だと理解して」

上村彩子キャスター:
なぜ今回、児童相談所の職員を取材しようと思ったのでしょうか。

垣田友也ディレクター:
子どもを虐待から救うプロは児童相談所の職員で、専門的な知見もあり、強い権限も持っています。ただ、今まで児童相談所の現場を取材してきて中で、『現場で職員が疲弊している』『人を増やしたいけど、人は来なくてデスクだけが増えた』といった話も聞いてきました。

やはり子どもを虐待から救うためには、児童相談所の職員のサポートが大事なのではないかと思い取材にいたりました。

喜入友浩キャスター:
今回、取材した取り組みについて、現場からはどのような声がありましたか。

垣田ディレクター:
相談専門スタッフに関しては、実際に利用者が増えていますし歓迎の声も聞こえました。

ただ、これまで話を聞いた児童相談所の職員の中には、「辛いと言っていいと言われても、私達は辛いと言うのを何とかこらえている。辛いと言った途端、精神的に崩れてしまう」という人もいました。

実際、かなり難しい問題だと思いますが、特効薬はないわけです。ただ、虐待対応というのは日々たくさん押し寄せてくるので、試行錯誤しながらでも、改善のための取り組みを広げていく、続けていくことが大事なのではないかと思いました。

上村キャスター:
私達や社会ができることはどんなことでしょうか?

垣田ディレクター:
職員は「私達は家庭訪問に行きますが、敵だと思わないで欲しい」「私達は支援をしに行っているので理解してほしい」とよく言っています。

報道する側に関しては、虐待事件が起きた際に、「児童相談所は何をやっていたんだ」「何で救えなかったんだ」といったトーンの報道が増えると、その事件に関係した児童相談所だけでなく、他の全く関係ない児童相談所にも苦情や抗議の電話がたくさんかかってきて、仕事にならないということが起きているそうです。

私達はただ批判的な報道をするのではなく、どういう仕組みがあれば子どもを救えるのかといった建設的な報道が必要になってくるのではないかなと思います。

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<プロフィール>
news23 垣田友也ディレクター
児童虐待や子どもの貧困について取材
普段から虐待防止のシンボルカラー・オレンジを身につける