「団地のふたり」の二人紅白歌合戦

田幸 「団地のふたり」(NHK BS)は、こんなの絶対好きに決まってる、と思って見た方が多いはずです。

倉田 小泉今日子さんと小林聡美さんのつくり出す空気感にどっぷり浸れるドラマでした。団地での高齢化が進む中、50代の若手として、周りのおばちゃんたちに重宝されている姿。家族だけで孤立するのではなく、ご近所さんに助けてもらったり助けたり、「すみません、お願いします」みたいな感じでなく「あなた、ちょっとこれやってよ」みたいな緩いノリ。今の日本に本当にこんなところがあるのかなと思いつつ、あってほしいという強い気持ちになりました。

二人とも現状はシングルで、近くにお友達がいるうらやましい環境ですが、将来を真剣に突き詰めたら不安がないわけではないはず。でも目の前の仕事、やらなきゃいけないこと、友人との交流とか、そういう穏やかな日常を積み上げていった先に、年をとった未来があると思うと、そんなに不安に思わなくてもいいのかなと、ちょっと安心感を与えてくれる作品でした。シングルの女性が共感するポイントが多かったのではないかと思います。

影山 この作品に対しても「ちょっと甘いんじゃない」とおっしゃる方はいると思います。だけど、あえて甘く表現することによって救いが出てくるし、改めて現実問題を考え直そうという気になる。あまりに現実を直視させられ過ぎると、もう勘弁してくださいという悲しい出来事が今あまりにも多いんですよね。甘さゆえに、問題提起として効果的だと思います。

最終回は二人で紅白歌合戦をやる。結構長尺な二人紅白で、どこまでやんねんと思いましたが、そういう遊び心もふんだんにありました。