お産の痛みをやわらげる「無痛分娩(ぶんべん)」。世界的に見ると日本での無痛分娩の実施率は1割程度と低い水準で、どのようなものか分からない人もいると思います。そんな中、1年に約7割の妊婦が無痛分娩を選んだ熊本市の病院で、無痛分娩による出産の瞬間に立ち会いました。

そうした現場から、無痛分娩のメリット・デメリットやリスク、そして費用の課題について考えます。

どうやって痛みを和らげる?無痛分娩の仕組み

無痛分娩は、麻酔を使って陣痛の痛みを和らげる分娩方法です。痛みが完全になくなるのではなく、あくまで自然分娩と比べて痛みを緩和できるもので、「和痛(わつう)分娩」とも呼ばれています。

日本での無痛分娩の多くは「硬膜外(こうまくがい)麻酔」という麻酔法で、腰や背中から麻酔を入れることで下半身の感覚を鈍くします。上半身には麻酔がかからないので、意識ははっきりしたまま、会話をしたり、生まれた赤ちゃんを抱いたりすることが可能です。

1月13日、無痛分娩で出産に臨んだ妊婦に密着しました。