――レコードを聴いた人の感想は?

▼山城政幸さん
「本当にプレスリーが(蓄音機の)中にいるみたいだねとか、ひばりさんが喋っているねとか。そういうリアクション。いい音ですよ、蓄音機は」

山城さんが集めた大量・多彩なレコードは、学術的にも重要な資料となっている。

去年出版された一冊の本がある。『沖縄レコード音楽史 <島うたの系譜学>』

琉球古典音楽からポップスまで、沖縄の音楽がどのように国内外へ広まっていったのか、音楽学の専門家がレコード音源などを軸に読み解いた研究書だが、この研究書の出版に、山城さんのコレクションが大きな役割を果たしたという。

多彩なコレクションには研究者も注目し論文執筆に貢献した

▼研究書を出版した高橋美樹教授(高知大学・音楽学)
「SPレコードというのは、目録・新聞広告・SPの現物を照合させながら分析していく必要があって、その点でも山城さんの “現物のレコード” がなければ、この著書を完成することはできなかったと思っています」

音楽ファンも研究者も魅了する、山城さんのレコード。大量のコレクションの費用はどのように賄っていたのか。聞くと意外な答えが返ってきた。

――山城さんの本業は何ですか?

▼山城政幸さん
「写真屋です。写真屋」

山城さんの “正体” は写真店の店主。創業当初は、レントゲンや人体の写真に特化した、「医学写真専門店」だったそうだ。

「機材もみんな消毒して(手術室に)搬入する。撮れるのは “医学写真技師” で、沖縄に2人しかいなかった」

医学写真を撮影する様子(山城さん提供)