初任給アップによる影響で40代~50代の賃上げはどうなる?

南波キャスター:
初任給以外の色々な要素が就職先選びでかかわってくるとは思いますが、一方で、大卒現役世代の平均月収と比べるとどうなってくるのか見ていきます。
2023年調査で、ボーナスなどを除いた6月の給与です。(厚労省・賃金構造基本統計調査より 全国平均)
【大卒現役世代の平均月収】
30歳~34歳:30万9000円
35歳~39歳:35万4100円
40歳~44歳:39万4700円
45歳~49歳:43万900円
50歳~54歳:47万3500円

こうなると、初任給との格差は今後どうなるのか。みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井さんによると…
新人の頃は初任給が上がる一方で、2~3年目などの指導係も賃上げはされると見ています。
(給与の)逆転現象が起きてしまうと、指導係の社員のモチベーションにも関わってきます。雇用も流動化しているので、転職してしまう人も出てくるかもしれません。
ただ、30代や40代~50代はどうなのか。
▼30代は「一定程度上がるのではないか」と見ていますが、▼40代~50代は「賃上げをしないのではないか」という見立てがあります。
この背景には、年功序列による“高収入”の社員や子育て・住宅ローンを抱えている社員が年収低下のリスクをとって転職する人は少ないと見ているわけなんです。なので、企業側は若手の賃金アップを優先したいと考えていると酒井さんは指摘しています。

今後の人材確保のために企業がすべきこととして、初任給アップはもちろん大事ですが、その後の賃金の伸びが期待できない場合、人材流出のおそれもあります。
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井さんは「年功序列からの過渡期。年代にかかわらず成果に応じて賃金が上がる制度設計を企業が行うべき」と話していました。
日比キャスター:
働き方も多様化していますが、メイさんは経営の立場からこういった問題をどのように見ていますか?

ハロルド・ジョージ・メイさん:
もう一つの観点から言うと、メリハリをつける企業がどんどん出てくるんじゃないのかなと思います。
メリハリは何かというと、「成果をどれだけ出したら、これだけの対価もプラスで出します」という競争社会ではあるんですが、ビジネスというのは元々競争なので、競争の中でどれだけ成果が出せるのか。それに見合った対価を出すというようなメリハリがもっと出てくるのではないのかなと私は見ています。
日比キャスター:
働き手に対しても色々なチョイスを提案していくということも大事になっていくかもしれません。
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<プロフィール>
ハロルド・ジョージ・メイさん
日本コカ・コーラ副社長やタカラトミー社長などを歴任
現在パナソニック社外取締役 アース製薬社外取締役など














