「初任給」の引き上げ 一体なぜ?

なぜ初任給が上がっているのか、みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介チーフ日本経済エコノミストは、「少子化で人材獲得競争が激化している。企業は優秀な人材を確保したい狙いがある」と話しています。
一方で、就活生が求める初任給の額も変わってきています。
就活情報サイトを運営する「マイナビ」の調査では、2026年卒の就活生が求める“最低限ほしい初任給”は「22万円以上」と答えた割合が、前年より13.8ポイント増え、63%となっています。
理由として、「物価高など経済不安から求める金額が上昇しているのではないか」ということです。
日比麻音子キャスター:
大手企業を中心に初任給が上がっていますが、この状況をどのように見ていますか?

パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん:
最近、役員会に出てもこの話(初任給引き上げの話)がよく出るんです。やはり会社を動かすのは商品やサービスではなく、働いている方々なので、できるだけ優秀な人に来てほしいという気持ちもわかりますが、今、どこも人材不足ですよね。
ですが、「初任給」という言葉に少し気をつけないといけないと思います。
初任給は一つの入口なので、何かパフォーマンスを求めているわけでもなく、「入社すればこの金額がもらえます。初任給が高いうちの方が魅力的ですよ」と募集するのはわかります。
しかし、実は収入というのはそれだけではなく、それに加えて、「福利厚生」や「ボーナス」などもあります。ボーナスに関しては夏と冬の分があるので、これも足していかないといけない。あるいは「出世がどのぐらいできるのか」「食堂があるのか」「駅から近いのか」などいろんなことを考えないといけないんです。
なので、「初任給」というのは一つの目玉商品であって、その他がどうなっているのかも合わせて見ていかないといけないです。
でも今、色々な企業から「初任給引き上げ」の話が持ち上がっていて(人材の獲得)競争が激しくなっているのは間違いないです。