旧安倍派vs財務省 論理の比較・分析を期待

支局長として6年半取材した安倍政権の見方も変わった。消費税増税をめぐって首相が何度も財務省と対立したことをその都度取り上げたが、溝の大きさには十分気が付かなかった。

安倍さんが亡くなられたあとに出版された回顧録には、「国が滅びても、財政規律が保たれてさえいれば、満足なのです」と安倍さんが財務省を痛烈に批判している。これに対し、「大幅な赤字財政が続いている日本では、財政健全化のために増税は避けられず、(中略)それは国家の将来を思えばこその行動だ」と斎藤次郎元財務省事務次官が反論している(文藝春秋、2023年5月号)。この対立こそ安倍政権を理解する上で鍵を握ると今は思う。

最近の記事に1-2回短く言及する程度しかできなかった。石破政権が所得税の見直しに取り組むなか、財務省の論理と対立する旧安倍派の論理を比較する分析を日本のマスコミに期待したい。