大谷翔平選手をめぐる報道

2024年のスポーツ界で最も人気を集めたのは、何といってもメジャーリーグで活躍する大谷翔平選手であろう。次々に大記録を達成する大谷選手の活躍ぶりは、もちろん大きなニュースではあるが、やや過熱気味ともいうべき報じ方になっていたことも確かだろう。

3月、大谷選手の専属通訳だった水原一平氏が違法なスポーツ賭博に手を染めていたことが発覚。水原氏は、米検察に起訴される。大谷選手も自身の口座から水原氏に騙し取られていたことが明らかになったこともあって、そのような環境で、記録を残す大谷選手の人気は衰えないばかりか、むしろ盛り上がるばかり。大谷選手のパートナー・真美子さんのこと、大谷選手の愛犬「デコピン」のことなど、大谷選手のことなら何でも取り上げるメディア状況が生まれている。

そのようななかで、日本のテレビ放送が、大谷選手関連のことであれば、何でも取り上げるという状況になっていることには、批判の声も少なくない。その過熱取材が大谷選手側とトラブルになるケースも生じているという。

2025年のスポーツ報道においても大谷選手への依存状態は続くのだろうか。

パリ五輪とテレビ

他方で、2024年一番のスポーツイベントは、何といっても7月に開催された「パリ・オリンピック™」だっただろう。

前回の東京大会が、新型コロナウイルス感染症が世界的な猛威を振るうなかで、当初予定の2020年開催のスケジュールを1年延長の上、2021年にようやく開催にこぎ着けた大会も無観客で開催することになった。

その東京大会から比べると、打って変わってパリ五輪は、完全なリアル開催であり、日本のテレビは、歓声に沸き立つパリ五輪を17日間に渡って伝えた。

日本選手の活躍も目覚ましく、日本選手団は、海外で開催された大会としては最多の45個のメダルを獲得。テレビらしいスポーツイベントとなった。

歴史を振り返ると、オリンピックの開催は、常にテレビ放送の発展に寄与してきた。パリ五輪も、民放公式ポータルのTVerで、テレビ放送では編成できなかった多くの競技、試合を含め、ライブやハイライトを配信した。言わばハイブリッドキャスト型の五輪中継となったわけで、今後のスポーツイベントの放送/配信のあり方を占うものであったとも言える。

国内のプロ・スポーツについても、触れておこう。

セ・リーグの2024年のリーグ3位だったDeNAは、クライマックスシリーズで2位の阪神、リーグ覇者の読売巨人に勝って、日本シリーズ進出。パリーグ王者の福岡ホークスを4勝2敗で制し、日本シリーズの勝者となった。

その「下克上」ぶりが話題となる一方、プロ野球界唯一の女性オーナーであるDeNA南場智子オーナーも参加した恒例のビール掛けは、これまでの雰囲気とは異なり、勝利のお祝いという熱い空気を持ちながらも、ちょっと上品なメディアイベント化され、広く受け入れられたとされる。