波多野さん「悪質運転には捜査を尽くして」
警察官に訴え続ける
波多野さんは自らの経験を踏まえ、全国の警察署を訪れて警察官に危険運転をしっかり取り締まってほしいと訴える活動を続けています。

波多野さん「酒、薬、ひき逃げ、赤信号無視。こうした犯罪行為の結果、何の落ち度もない子どもが命を失う。こうしたことの悔しさ、社会からの疎外感。皆さんもぜひ想像していただきたいです」
波多野さんは、「好事例を共有」することの重要性を訴えました。好事例を頭に入れて初動捜査にあたるのと、そうでないとでは、結果が全く違うと話します。
波多野さん「裁判の結果を分けるのは、皆さんの捜査による証拠が、ほぼ全てです。 私の事件で危険運転致死傷罪が裁判所に認められた最大のポイントは、実況見分調書の信用性でした。葛飾警察署はどのように調書を作ったのか、好事例を共有していただいて、次の事件に備えていただきたい」

講演の最後に波多野さんは、警察官を前にこう語りました。
波多野さん「仏作って魂入れずという言葉があります。これは大事なものが抜け落ちていれば意味がないという意味だそうです。 仏は法であれば、魂は最前線に立って実務に当たる皆さんです。 悪質運転によって、突然に命を断ち切られた全ての人たちを忘れないでいただきたい」

ハードルが高い危険運転致死罪の適切な適用にむけて、自身の事故で得た知見を捜査現場で生かしてほしいという思いから、検察庁や警察庁などに自身の事故や裁判に関する情報を提供。今年2月からは、法務省で開かれている「自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会」の委員として、「人の命の重みを反映する法律であってほしい」と意見しています。