「赤信号殊更無視」とは何か…

危険運転致死傷罪の構成要件である「殊更に無視」を司法に認めてもらう闘いが始まりました。調べてみると赤信号を無視して車にはねられ死亡したケースが2015年に千葉県で起きていました。

2015年4月、千葉市の交差点で乗用車の運転手が赤信号に気づきながらも加速して交差点に進入しバイクと衝突。バイクの運転手が死亡しました。この裁判では、乗用車の運転手が赤信号を認識した地点が交差点停止線の直近だったため、信号を無視して進行した行為が「殊更に無視」ではないとして危険運転致死傷罪を認めず、気質運転致死罪が成立するとしました。量刑についても執行猶予付きの懲役刑を言い渡しました。

そもそも「殊更無視」による危険運転致死傷罪は、停止線を越えたとしても、安全な場所に停止できるにも関わらず、あえて赤信号を無視して進行した場合に成立する犯罪です。要は交差点内であっても安全な場所で停止できるにも関わらず、あえて進行を続けた場合に「殊更に無視」となりますが、安全な場所で停止できない場合には赤信号を無視して進行してたとしても「殊更に無視」にあたらないと解釈されるのです。

事故現場<遺族提供>

赤信号を無視して交差点内に入れば、道路交通法の信号などに従う義務違反として処罰の対象となりますが、もし、赤信号を無視して交差点に入ったとしても、自身の身の安全を守るためにそのまま進んだということであれば、理論的には「殊更に無視」による危険運転致死罪は成立しないと解釈するしかないのです。