認定まで長い道のり 自治体ごとの審査に課題も

直接の被害ではなく、たとえば避難途中や、避難後の特異な環境下における死亡事例において、災害との「因果関係」が認められるものを災害関連死という。2024年12月24日までに、石川県内では計255人が災害関連死と認められた。2016年の熊本地震での災害関連死、222人を上回る。

2024年1月撮影 被災した石川・輪島市

1995年の阪神大震災以降、徐々に「災害関連死」という言葉の認知度は広まってきたが、「課題は山積だ」と弁護士の在間文康氏は話す。

災害関連死の申請に詳しい 在間文康 弁護士
「災害関連死という言葉を知っていたとしても、申請までに▼心理的ハードルと、▼物理的ハードルがあります。心理的ハードルは、ご遺族が申請までに気持ちが向かないというケース。そして、物理的なハードルとしては、書類、資料の提出が被災生活の中で揃えるのが難しいということです。」

認定は自治体が招集した審査会によって行われるが、2011年の東日本大震災の認定をめぐっては、自治体ごとの認定率に差が生じた。

日弁連が2013年に行ったアンケートによると、福島県の自治体では認定率が86%にのぼった一方で岩手県の自治体では60%にとどまった。国は、災害関連死の認定については統一的基準を定めていないが、そうした基準を設けることにも難しい側面があるという。

災害関連死の申請に詳しい 在間文康 弁護士
「災害の特性や被災者を取り巻く生活環境、事情というのは千差万別で、地域の特徴というのも加わってきます。災害の状況によって実態が大きく変わるのです。自治体ごとの判断にゆだねることで認定率に差が生じてしまうという側面がある一方で、中央コントロールが過ぎると杓子定規な判断につながりかねません。」

また、構成される審査委員が重要な要素だとも指摘する。

災害関連死の申請に詳しい 在間文康 弁護士
「委員は医師や弁護士など5~7人で構成されるのが通常です。災害関連死の認定をめぐっては、法的概念である死亡した経緯と災害の『相当因果関係』を調べていくことになるのですが、審査の現場では医師の意見が尊重されやすいのが実情です。複数人の法律スペシャリストが委員に入るのが望ましいと考えています」