「申請はウソだ」

しかし2年後の2015年、学校と県教委は林田さんの公務災害申請が「虚偽だった」と判断。さらに虚偽申請を理由に林田さんを懲戒免職処分とし、詐欺の疑いで警察に告発しました。

取り消された公務災害の認定。国体のボクシング競技で長崎県を全国制覇に導いた翌年のことでした。林田さんはこれを不服とし、基金審査会に対し処分の取り消しを求める審査請求を行い、県人事委員会に対しても懲戒免職処分の取り消しを求める審査請求を行いました。しかし、いずれも棄却されました。

最高裁判決まで9年の闘い

林田さんは2019年1月、長崎地方裁判所に懲戒免職処分の取消し等を求めて提訴。2022年に一審の判決で勝訴しました。

県教委は控訴しましたが、2024年2月に福岡高裁は控訴を棄却しました。福岡高裁判決は生徒の証言について「変遷があり信憑性に乏しい」などとして県教委の処分理由を‟事実誤認”と判断していました。

県教委はさらに最高裁に上告しましたが、最高裁は2024年12月20日付けで上告不受理を決定しました。これにより林田さんの懲戒免職処分の取り消しが確定しました。

先生の悪口を言いながら…

不当な免職処分がなぜ言い渡されたのか?代理人の弁護士は、生徒たちは県側に「言いくるめられた」と主張し、取り調べに問題があったと指摘しました。

林田さんの代理人・塩飽志郎弁護士:
「教頭、県の教育委員会、課長、課長補佐、目撃していた生徒の保護者も学校側にべったりなっていた。この5人が16歳の少年に対して、『どんなことをするかわからんよ』『火をつけて回るかもわからんよ』『電話番号とか住所とか教えるな』など林田先生の悪口を言いながら追及している」

「『かなり問題のある追及の仕方だった』という趣旨のことを裁判官も言っている。録音もあります」

代理人弁護士は、林田さんが当時ボクシング連盟の不正な金の流れを追及していたことも、突然の「虚偽申請」指摘に関係しているのではないかとしています。