知的障がいのある受刑者が、再び刑務所に戻ってくる再入率は25.8%。出所者全体の約2倍という高さです。その背景には何があるのか。長崎刑務所では2022年から、知的障がいのある受刑者の社会復帰を支援する新たな取り組みを始めました。花を育て、和太鼓を叩き、時には仲間と語り合う。最初は消極的だった受刑者たちにも、少しずつ変化が表れてきた一方見えてきた課題もあります。全国で唯一「社会復帰支援部門」がある長崎刑務所の取り組みを取材しました。
長崎刑務所
千葉、金沢、奈良、鹿児島と並ぶ明治の五大監獄のひとつだった旧長崎刑務所。大規模な赤レンガ建築群の建物は2007(平成19)年に正門と一部を残して解体されました。

同じ諫早市内に移転した長崎刑務所には、2024年10月末日現在、26歳以上で刑期10年未満の男子受刑者ら414人が収容されています。
全国唯一の「社会復帰支援部門」
長崎刑務所には全国で唯一「社会復帰支援部門」が設けられています。2022年からは知的障がいのある受刑者の社会復帰を支援するためのモデル事業がスタート、5年計画で進められています。
九州内の刑事施設(刑務所・少年刑務所・拘置所)から知的障がい者(疑い者含む)が長崎刑務所に集められます。

【社会復帰モデル事業】
(1)障がい特性の把握と処遇計画の立案
(2)処遇計画に基づく訓練・指導
(3)療育手帳の取得
(4)出所後の支援のための調整
障がい者の就労支援などを行っている地元諫早市の社会福祉法人「南高愛隣会」もこの事業に協力。障害の程度のほか、当事者や支援者の声も反映させたプログラムで知的障がいを持つ受刑者の社会復帰を目指しています。