キャッシュレスを受け容れる「前向きさ」「腰の軽さ」

キャッシュレス派と現金支払派では、買い物についての考え方や行動に差があるかもしれない――。
そう考えて、TBS生活DATAライブラリ定例全国調査の「買い物の仕方や態度」質問への回答を両派で比べてみると、両派共通のものや一方で特徴的なものが見受けられました。
それらについて、参考で加えた回答者全体での選択率順に並べたのが次の横棒グラフです。

両派共通なのは上位2項目の「古いものでも使えるうちはがまん」と「物価安定でも節約」。両派とも7割の選択率で、堅実な生活態度がうかがえます。

一方、キャッシュレス派の6~7割が「ポイント、マイレージ好き」「ネットの買い物に不安なし」「バーゲン好き」で、ネットでお得に買い物することが信条のようで、現金支払派の4割程度とは大きな差。

他方、現金支払派の6割程度が「新奇なものは買わない」「不要なものも買わない」「新規店にも行かない」と超保守・超消極的姿勢で、やはりキャッシュレス派の4割程度と大きな差。

新たな決済手段を受け容れる「前向きさ」や「腰の軽さ」の程度が、両派の買い物の仕方を特徴づけているようで興味深いところです。

怪しいけれど、使わないと損

インターネットやスマートフォンの普及を背景に、新しい技術を使った新しい決済方法が登場。こうなってくると、キャッシュレス派と現金支払派では、インターネットについての考え方にも差があるのかも――。
そこで、「買い物の仕方や態度」質問と同様に、TBS生活DATAライブラリ定例全国調査の「インターネットやSNSについての意見」質問への回答を両派で比べてみました。その結果が次の横棒グラフです。

まず目につくのは、キャッシュレス派の6割が「ネットやSNSは生活の一部」としている点で、現金支払派の4割を大きく上回っています。
また、ネットやSNSについて「使わないと不利」「テレビや新聞にない情報が得られる」などもキャッシュレス派で多く、それぞれ現金支払派と10ポイント以上の開きがありました。

一方、どれもキャッシュレス派の選択率のほうが多いものの、「SNSの実名登録に抵抗感」「ネットやSNSが大好き」「ネット・SNS情報はすぐには信用できない」は両派とも3~4割程度と、大体同じくらいでした。

両派とも、実名登録などのプライバシーや、流通する情報の信頼性に一定の懸念を抱く人が存在。その上で、キャッシュレス派は「使わないと不利になる」との思いから、積極的・能動的にインターネットやSNSを使おうとしているように見受けられます。