なぜ拠点をシンガポールに移したのか…その時に不安はなかった
膳場:
聞き忘れていたのですが、シンガポールにお住まいですよね。
中田:
2021年3月、コロナ禍のど真ん中に、誰もいない空港から飛び立ちました。
膳場:
なぜ拠点をシンガポールに移したんでしょうか。
中田:
大学卒業してすぐに芸人デビューして、テレビにすぐ出させてもらって、そこからずっと仕事をしていたので、本当に17〜18年ずっとテレビ局に通っていました。
東京拠点じゃないYouTuberの人って多いんです。愛知県岡崎市にいる「東海オンエア」とか、静岡市にいる「はじめしゃちょー」とか。東京じゃないところに住めるんだって思って、最初は妻の実家の岩手県に行こうとしたんです。そうしたら、妻から「外国とかにすれば」って言われたんです。外国って選択肢は考えてもいなかったので、面白いかもしれないと思って。比較検討した結果、YouTubeでシンガポールの初代首相のリー・クアンユーを特集したことがあって、リー・クアンユーが作った国を味わってみたいと思って行きました。
膳場:
好奇心で引っかかったところにちゃんと行ってしまう行動力もすごい。不安はなかったですか。
中田:
激動の中で気づいたらシンガポールにいたって感じ。テレビへの未練がどうこうというより、逆で、自分の危機感や挫折感もありました。テレビに対しても、自分が思ってるところになかなか行けないな、テレビから選ばれないな、と。自分自身どこか違う環境で勝負したいというところがあったんだと思います。
膳場:
タイミングを同じようにして、YouTubeが勢いづいていって、みんなも興味を持って見るようになって、テレビももうちょっと頑張らなきゃいけないという局面です。私の同世代でも、テレビを見なくても、YouTubeを見る人は増えてきました。
中田:
今まで50年ぐらい、テレビの1択だったわけですからね。選択肢が広がってるのはあるかもしれないですけれど、やっぱり、(テレビへの)憧れはみんな持ってると思います。