迷いのない回答…ブケレ大統領の“最側近”「最後の1人を捕まえるまで」

強権的な治安対策で犯罪の発生件数を激減させたエルサルバドル。現在、人口の2%が何らかの犯罪で収監されているという。これは世界最高水準の収監率だ。
また、冤罪も大きな問題となっている。情報提供のみに基づく身柄の拘束やギャングとの関係を示すタトゥーを根拠にした逮捕が冤罪の温床になっているという。
非常事態宣言下での超法規的な措置は、人道上問題があるものとして、国際的にも批判されている。
政府はこうした問題をどう捉えているのか。私たちは治安対策の責任者・ビジャトロ司法公共治安担当大臣を訪ねた。
ーー「テロリスト監禁センター」はどのような刑務所ですか?
「連続殺人犯を収容するために作った刑務所です。受刑者はすべて殺人犯です。ここに収監された人が社会に戻ることはありません。私たちは、連続殺人犯の矯正教育のために国民の税金を1セントたりとも使うつもりはありません」
ーー受刑者の人権についてはどう考えていますか?
「受刑者にも人権はあります。しかし、人権があるのは受刑者だけではありません。エルサルバドルではギャングによって12万人が殺害されました。彼らの人権にも目を向けてください。最大の人権は『命』です」

穏やかで丁寧な受け答えだが、少しの迷いもない回答が続く。これまで何回も同じような質問に答えてきたのだろう。
ーー非常事態宣言下の超法規的なギャング撲滅作戦では冤罪も起きているそうです。治安の回復のためにはやむを得ないことですか?
「ブケレ大統領は今年2月の大統領選挙で再選されました。もし国民が「自分たちの人権が侵害されている」と感じたら、そのような結果にはならなかったでしょう。善良なエルサルバドル人は、“強くて勇敢な国家”を求めていて、それを実現することが人権を守ることにもつながるのです」
ーー非常事態は2022年に宣言されました。いつまで継続される見通しですか?
「すでに明言されていることですが、ギャングの最後の1人を捕まえるまで非常事態宣言は継続します。それ以外の方法はあり得ません」

劇的な「治安の回復」という実績で世界から注目されるブケレ政権。
いまエルサルバドルの国民は久々の平和を楽しみ、大統領は英雄視されている。ただ、現在の平和が“当たり前”のものとなったとき、何が起きるのか。
終わりの見えない緊急事態宣言と、目的のためには超法規的な対応もいとわない政権のスタンスは、一抹の危うさをはらんでいるようにも見えた。














