受刑者の厳しい視線 事前に「本当に、本当に危険」と警告

建物の中に入ると、思った以上に明るくて広い。
それぞれの監房には100人近くの受刑者がいるようだ。全員が同じ白いTシャツを着ていて、髪は丸刈りだ。顔や体にギャングとの関係を示すタトゥーがある。様々な年齢の受刑者がいるが、20代くらいの若い世代が多い。
多くの受刑者が腕組みをして黙ってこちらを見ている。睨みつけているような厳しい視線を感じ、居心地が悪い。受刑者たちは、私たちが来ることを知らされていたようだ。
広報担当者は「受刑者同士の会話は禁止されていない」という。とはいえ、自由に会話できる雰囲気でないことは明らかだ。
どの監房の前に行っても同じような景色が広がっている。「こんな映画をどこかで見たことがあるような気がする」と感じた。

監房から1メートルくらいのところに黄色い線が引かれている。「受刑者は本当に、本当に危険だから、絶対に線を越えるな」と事前に警告されたことを思い出した。
政府の説明によると、受刑者は全員がギャングのメンバーで殺人や誘拐など複数の重大犯罪に関与した者ばかりだという。

監房にはほとんど物がない。金属製の棚のような“ベッド”があるだけだ。就寝時間も照明が消されることはなく、枕やマットレスの使用も認められていないということだ。
食事はプラスチックの容器に入れられて提供される。ナイフやフォークは凶器になりうるので、手づかみで食べる決まりになっている。
原則として肉などが提供されることはなく、単調なメニューが繰り返される。生きていくために必要な最小限の栄養のみ補給できるよう計算されているという。
“人権よりも安全優先” 受刑者は高い人口密度で24時間過ごす
全てにおいて「人権よりも安全を優先する」というスタンスが徹底されている。人口密度はかなり高いが、受刑者は基本的に24時間この場所で過ごすという。


この受刑者たちは「出所しない前提」で収監されているという。つまり、彼らはこれから残りの人生をこの場所で過ごすということだ。だから通常の刑務所で行われる“矯正教育”も行われない。
安全が優先のため、受刑者が労働に従事することもない。ただ、この場所で生かされ続けるだけの状態が延々と続くことになる。

