「学び合いが力に」周囲の人たちとの関係からカミングアウトをするように
納得する形でスポーツができなかった。自分の性をなかなか打ち明けられず、周囲と距離が空いてしまったこともあった。自身の性に苦悩していた時期もあった榎本さんだが「辛くて苦しいから」手術を選んだわけではないと名言する。あくまで「胸がない方が生活しやすいから」と考えた末の選択だ。
手術費用もバイト代を貯めて用意。自分とじっくりと向き合い、手術に至るまでに時間のかかるという保険適用での手術を選んだのも、焦りやネガティブな気持ちゆえの選択ではないからだ。
そこには、周囲の人たちとの信頼関係が影響しているという。
「高校2年生くらいのときに、初めて信頼している友人にカミングアウトしたら、すごく力になってくれて。その後からどんどんいろんな人に言えるようになっていきました。伝えたことで、周囲が変わってくれたり、LGBTQに関心を持ってくれたりする。
人と人が関わって学んでいくっていうことが、すごく力だなっていうのを、高校でのカミングアウトを通して強く知りました」
2日後に迫った手術を前に、晴れやかな表情を浮かべる榎本さんは何を思うのか。
「ずっと胸っていうのが、いろんなことのきっかけだったので。そこが手術で変わるっていうのは、自分にとっては何かすごく…感慨深いところはありますね。元気な姿を見せに来てほしいっていう人たちが本当にたくさんいるので、終わって見せに行くのが楽しみです」